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猫 · Feline CKD
慢性腎臓病
動物病院で言われたら
高齢の猫で「腎臓病」「腎不全」と告げられた場合、その多くがこの病気です。
アイの、そっとささやき
アイの、そっとささやき
腎臓病は、多くの高齢の猫ちゃんが向き合うことになる病気です。早めに気づき、適切なケアを始めるほど、一緒に生活できる時間は長くなります。まずは今の段階を正しく知ることから始めましょう。
30 秒でわかる、この病気について
沈黙の病気·腎臓の機能が7割以上失われるまで、目立った症状が出にくい病気です。
不可逆な進行·一度失われた腎機能を元に戻すのは、今の医学では難しいのが現実です。
進行を遅らせる·早めにケアを始めれば、進行を大きく遅らせられます。
検査の数値から、いまの段階を確かめるクレアチニンと SDMA で IRIS ステージの目安がわかります
数値がまだ手元になければ、ここは読み飛ばして大丈夫です。
担当獣医師から聴いた数値を入力
正常: < 1.6
正常: < 18
SDMA ── クレアチニンより早い、異変の察知
17ヶ月早く検出
17ヶ月
早く検出
SDMAは腎機能が約25〜40%低下した時点で上昇し始めます。クレアチニンが異常値を示すのは約75%低下してからです。この差が、早期介入の「窓口」を広げます。
療法食で延びる「一緒に過ごせる時間」
1,430頭の調査+5ヶ月
+5
ヶ月
1,430頭の大規模データが裏付ける、5ヶ月の延長。亡くなるリスクは30%、病気が進むリスクは最大46%下がりました。
※ 1,430頭を対象とした大規模調査データ
以前のデータ
以前の
データ
病気がもう少し進んだ猫50頭を対象にした、25年前の小規模な研究でも、療法食を続けた猫は長く生きられたと報告されています。測り方も対象も上記の大規模データとは異なりますが、「食事が時間を支える」という方向性は今も変わりません。
※ 50頭の対象はStage 2–3相当のCKD猫。上記の大規模データとは対象集団・解析手法が異なります。
腎臓病の、静かな始まりについて
猫の腎臓病は、症状が現れた時にはすでに腎機能の4分の3以上が失われていることが少なくありません。だからこそ、「まだ元気」に見えるうちからの定期検査と、数値の変化を見守ることが重要です。
いまの段階を知る、IRIS ステージという目安
IRIS(国際獣医腎臓病研究グループ)の2023年ガイドラインでは、クレアチニン値とSDMA値をもとにStage 1〜4に分類されます。現在の検査結果がどのステージに当たるかを、獣医師に確認することができます。
- —Stage 1 —クレアチニン正常、SDMAのみ軽度上昇の段階Cre < 1.6 mg/dL
- —Stage 2 —軽度〜中等度の低下、療法食の開始を検討Cre 1.6–2.8 mg/dL
- —Stage 3 —食欲低下・体重減少が現れやすい段階Cre 2.9–5.0 mg/dL
- —Stage 4 —重度の腎機能低下、緊急の対応が必要Cre > 5.0 mg/dL
※ ステージに加え、タンパク尿(UPC比)と血圧によるサブステージングが加わります。タンパク尿性:UPC > 0.4 / 高血圧:≥ 160 mmHg
「早期発見」がもたらすもの。
早期の腎臓病と診断された 1,430 頭の猫ちゃんを追跡した大規模な研究では、療法食を続けた猫ちゃんは、続けなかった猫ちゃんより、平均で約 5 ヶ月長く生きていたことが示されています。SDMA 検査は、クレアチニンより平均 17 ヶ月早く腎機能の変化を捉えられるため、ごく初期の段階から食事管理を始められます。早く始められたぶん、その効果もより長く積み重ねていけることが期待されます。
チャンスの確保
17ヶ月の早期発見
SDMA 検査は、従来のクレアチニン検査より平均 17 ヶ月早く腎臓の異変を捉えます。その分だけ、より早いタイミングで対策を始められます。
確実なプラス
平均5ヶ月の延長
大規模な研究で示された、療法食を続けることによる生存期間の延長。新しい季節をもう一度、一緒に迎えるための目安です。
命を守る
30%のリスク低下
療法食を続けた猫ちゃんでは、3 年間の追跡で亡くなるリスクが約 30% 低かったと報告されています。
療法食と日常ケアについて
腎臓病療法食はリン・タンパク質・ナトリウムが制限されており、腎臓への負担を軽減するよう設計されています。十分な水分摂取もあわせて重要です。急な切り替えは食欲低下を招くことがあるため、段階的な移行を獣医師と相談されることをお勧めします。
かかりつけ医への、具体的な問いかけ
このデータは診断を確定させるものではありません。しかし、次回の診察で以下を尋ねることが、具体的な第一歩になります。
「うちの子のクレアチニンとSDMAは、現在どのIRISステージですか?」
「タンパク尿と血圧のサブステージングは確認されていますか?」
「今から腎臓病療法食に切り替えるべき段階ですか?」
すでに進行していると言われた方へ
進行した段階でも、できることはあります
猫の腎臓病は症状が出にくいまま進むことが多く、気づいたときにはステージが進んでいた、というのは珍しいことではありません。「もっと早く気づいていれば」と、ご自分を責める必要はありません。
腎臓そのものを元に戻すことは難しくても、食欲・吐き気・脱水といった「つらさ」をやわらげ、穏やかに過ごせる時間を支えるケアはあります。IRIS のガイドラインでも、ステージごとに適したケアの方針が示されています。いま大切なのは、今の段階で何ができるかを主治医と一緒に整理することです。
「今の段階で、つらさをやわらげるためにできるケア(水分・食欲・吐き気など)はありますか?」
「これから、どんな変化が起こりうるか教えてもらえますか?」
「自宅でできるケアと、続けて見ておくべき数値や様子はありますか?」
高齢の猫で気になる、もう一つの病気
腎臓の数値の陰に、甲状腺の病気が隠れていることがあります
高齢の猫では、慢性腎臓病(CKD)と甲状腺機能亢進症が同時に見つかることが珍しくありません。甲状腺機能亢進症は腎臓の数値を一時的によく見せてしまうため、腎臓病が隠れて見えにくくなることがあります。よく食べるのに痩せる・活発すぎるといったサインがあれば、あわせて確認しておくと安心です。
猫の甲状腺機能亢進症のページへ →Tool
慢性腎臓病(猫)のケアを akiaia で記録する
体重・食欲・BUN/CRE/SDMA など IRIS の指標を 1 日 1 件で記録できます。診察室モードで主治医にそのまま見せられます。
関連する便利ツール(無料・登録不要)
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参考文献
- IRIS Staging of CKD (modified 2023). iris-kidney.com
- Hall JA, et al. Comparison of serum concentrations of symmetric dimethylarginine and creatinine as kidney function biomarkers in cats with chronic kidney disease. J Vet Intern Med. 2014;28:1676–1683.
- Elliott J, et al. Survival of cats with naturally occurring CKD: effect of dietary management. J Small Anim Pract. 2000;41:235–242.
- Coyne M, et al. Use of a veterinary therapeutic renal diet in cats with early CKD. JAVMA. 2026.
※ 数値は統計的な参考値であり、個別の診断を確定させるものではありません。獣医師との対話の材料として活用してください。