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腎臓病に伴う4つの合併症(タンパク尿・血圧・リン・貧血)について、病期に合わせた具体的な管理目標とアクションを解説します。
対象ステージ|ステージ2〜4(合併症が出はじめる時期)
自分の子のステージを確かめたい方はこちらこんな飼い主さんへ
- —検査で特定の数値(尿タンパクや血圧など)を指摘され、対策を知りたい方
- —先々どんな合併症が起こりうるのか、全体像を先回りで把握しておきたい方
腎臓病に隠れた4つの合併症とは?
腎臓は、体内の老廃物をオシッコとして捨てるだけでなく、血圧を調整したり、ミネラルのバランスを保ったり、 血液を作るよう命令を出したりと、実にたくさんの役割を担っています。そのため、腎臓の働きが落ちてくると、 一見関係なさそうな次のようなトラブルが連鎖して起こりやすくなります。
タンパク尿:腎臓のフィルターが痛み、大切な栄養が漏れ出す
高血圧:血圧の調整がうまくいかず、目や脳、心臓に負担がかかる
リンの異常(高リン血症):不要なミネラルが排出できず体に溜まる
貧血(腎性貧血):血液を作るホルモンが不足する
これらは外からは「見えにくい」症状ですが、検査で早めに見つけて一つずつケアをすることで、 腎臓への負担を和らげ、猫ちゃんの体をずっと楽に保つことができます。それぞれの目安と対策を見ていきましょう。
タンパク尿:腎臓のダメージを測るバロメーター
尿の中にタンパク質が漏れ出ている状態(タンパク尿)は、腎臓への負担をさらに加速させてしまいます。 ある調査では、尿タンパクの数値(UP/C)が「0.4を超える」猫は、「0.2未満」の猫と比べて、 病気が進行して亡くなるリスクが約4倍も高くなることが分かっています。
しかし、テルミサルタン(商品名:セミントラ)などの適切なお薬を使うことで、このタンパク尿をしっかりと減らせることが確認されています。
高血圧:目や脳、心臓を守るために
腎臓病の猫は、血圧のコントロールがうまくできず高血圧になることがよくあります。 血圧が160 mmHgを超えると、 目の網膜が剥がれて突然目が見えなくなったり、脳や心臓、そして腎臓自体に深刻なダメージ(標的臓器障害)を 与えるリスクが高まります。
収縮期血圧(mmHg)
猫の基準
- 正常目安内
- 140 未満
- 高血圧予備軍
- 140〜159
- 高血圧
- 160〜179
- 重度高血圧
- 180 以上
高血圧と診断された場合は、アムロジピン(商品名:アモディップ など)といった血圧を下げるお薬でコントロールします。 血圧を下げることは、目や脳などの臓器を守るだけでなく、腎臓へのダメージを加速させる「タンパク尿」を減らす効果もあることが分かっています。
リン:病期に合わせた食事と薬の調整
腎臓の機能が落ちると、体内の「リン」というミネラルが尿から排出できずに溜まりやすくなります。 リンの数値が基準よりも高くなると、腎臓の破壊がさらに進み、数値が「1 mg/dL」上がるごとに死亡リスクが11.8%増加するというデータがあります。
これを防ぐため、国際基準では現在のステージに合わせて、リンの目標値が細かく設定されています。 数値が目標を上回っている場合は、リンを制限した療法食へ切り替えたり、 食事中のリンを体外へ逃がすお薬(リン吸着剤)を食事に混ぜて使ったりして、コントロールを目指します。
ステージ別・リンの目標値
国際基準(IRIS)が推奨する血中リン濃度
- ステージ2
- 4.6 mg/dL 以下
- ステージ3
- 5.0 mg/dL 以下
- ステージ4
- 6.0 mg/dL 以下
貧血:腎臓からのホルモン不足を補う
腎臓には、血液(赤血球)を作るためのホルモンを出す役割もあります。腎臓の働きが落ちて このホルモンが不足すると「腎性貧血」になり、慢性腎臓病の猫の30〜65%にこの症状が見られます。
貧血が原因で元気や食欲が落ちるなど毎日の生活に影響が出始め、かつ赤血球の割合(PCV)が20%を下回った場合には、 不足したホルモンを注射で補う治療(ダルベポエチン=人用のネスプ など)が検討されます。
この治療にしっかり反応して貧血が改善した猫は、そうでない猫に比べて、長く穏やかな時間を過ごせる(ちょうど真ん中の子が過ごせた期間で、238日と83日)ことが分かっています。
まとめ:明日の診察室で聞きたいこと
このページの振り返り
- —タンパク尿や高血圧は、適切なお薬を使うことで腎臓や目などの臓器をしっかり守れます。
- —リンの数値はステージごとの目標値に合わせて、食事やお薬で管理することが寿命に直結します。
- —貧血で毎日の生活に影響が出ている場合は、ホルモン治療で穏やかな時間を大幅に延ばせます。
愛猫の現在地が少し見えてきたでしょうか。次回の診察では、ぜひお手元の結果を見ながらこのように先生に尋ねてみてください。
診察室で、こう聞いてみる
「うちの子の血圧や尿タンパクの数値は、今どのような状態でしょうか?」
「今のステージだと、リンの数値や貧血の兆候は目標値におさまっていますか?」
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参考文献
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- International Renal Interest Society (IRIS). Treatment Recommendations for CKD in Cats. 2023. iris-kidney.com
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※ 表示される数値は統計的な参考値であり、個別の診断を確定させるものではありません。 本ページの情報は獣医師が監修していますが、治療方針は必ずかかりつけの獣医師とご相談ください。
