Glossary
医療用語のミニ辞典
診察室で耳にする専門用語を、日常の言葉で短く説明しています。 疾患ページの本文では、点線のついた言葉をタップすると、その場で意味を確かめられます。
検査のことば
- 触診しょくしん
- 手で触って確かめる診察です。しこりの有無や痛がる場所、おなかの中の臓器の大きさなどを調べます。
- 血液検査けつえきけんさ
- 採血して、臓器の働きぐあいや貧血・炎症の有無などを数値で確かめる検査です。体の中の様子を幅広く見渡せるため、多くの病気で最初の手がかりになります。
- 尿検査にょうけんさ
- おしっこの濃さや、糖・タンパク・結晶などの成分を調べる検査です。腎臓や膀胱の状態を知る大切な手がかりになります。
- レントゲン検査(X線検査)れんとげんけんさ
- 体を透かして、骨や臓器の形・大きさ・位置を写真のように写す検査です。数分で済み、麻酔は基本的に不要です。
- 超音波(エコー)検査ちょうおんぱけんさ
- 音の反射を使って、臓器の中の様子や動きをリアルタイムで見る検査です。人の妊婦健診と同じ仕組みで、痛みや被ばくはありません。
- CT検査
- レントゲンを立体的に組み合わせて、体の断面をくわしく見る検査です。動物ではじっとしている必要があるため、多くの場合、全身麻酔か鎮静が必要になります。
- MRI検査
- 磁気の力を使って、脳や脊髄などレントゲンには写らない部分をくわしく見る検査です。全身麻酔が必要で、実施できる施設が限られます。
- 細胞診さいぼうしん
- しこりなどに細い針を刺して細胞を少しだけ取り、顕微鏡で調べる検査です。「針生検」とも呼ばれます。多くは麻酔なしで、その場でできます。
- 視診ししん
- 目で見て確かめる診察です。皮膚や被毛のようす、歩き方、呼吸のしかたなど、体にあらわれるサインを観察します。
- 聴診ちょうしん
- 聴診器で、心臓や肺の音を聞く診察です。心雑音や呼吸の異常など、外からは見えない胸の中の手がかりを探します。
- 問診もんしん
- 飼い主さんから、いつから・どんな様子かを聞き取る診察です。話せない動物の医療では、おうちでの観察が診断の大切な手がかりになります。
- 免疫染色めんえきせんしょく
- 採取した細胞や組織に特殊な色付けをして、細胞の種類や性質をくわしく調べる検査です。腫瘍のタイプを見分けるときに使われます。
- クロナリティ検査くろなりてぃけんさ
- 増えているリンパ球が「同じ細胞のコピー(腫瘍)」なのか「いろいろな細胞(炎症)」なのかを、遺伝子から見分ける検査です。リンパ腫の診断の決め手のひとつになります。
- 血液塗抹けつえきとまつ
- 血液をガラス板にうすく伸ばして、顕微鏡で血液の細胞を1つずつ直接観察する検査です。機械の数値だけでは分からない、細胞の形の異常や病原体を見つけられます。
- 確定診断かくていしんだん
- 「おそらくこの病気」という見立てではなく、検査で病気の正体を確かめて診断を確定させることです。治療方針を決める土台になります。
- 生検(バイオプシー)せいけん
- 組織のかたまりを一部切り取って、顕微鏡でくわしく調べる検査です。細胞診より確実な診断ができる分、麻酔や小さな手術が必要になることがあります。
- 病理検査びょうりけんさ
- 取り出した細胞や組織を、専門の獣医師(病理医)が顕微鏡で調べる検査です。病気の正体や、腫瘍なら良性・悪性の判定まで含めた「最終的な答え」を出します。
治療のことば
- 対症療法たいしょうりょうほう
- 病気の原因そのものではなく、いま出ているつらい症状(痛み・吐き気・脱水など)をやわらげる治療です。原因を取り除くのが難しい病気では、この治療が毎日を支える大切な柱になります。
- 抗がん剤(化学療法)こうがんざい
- 薬でがん細胞を攻撃する治療です。動物の医療では「生活の質を保てる強さで行う」のが基本的な考え方で、人の治療のイメージよりも副作用が控えめになるよう設計されることが多いです。
- ステロイド
- 炎症や免疫の働きを抑える薬です。幅広い病気で使われる頼れる薬ですが、長く使う場合は副作用とのバランスを見ながら、量を少しずつ調整していきます。
- 免疫抑制剤めんえきよくせいざい
- 本来は体を守るはずの免疫が、自分自身を攻撃してしまうときに、その暴走を抑える薬です。
- 皮下点滴ひかてんてき
- 背中の皮膚の下に水分を入れる点滴です。血管に入れる点滴より短時間で済み、慣れれば自宅でできるようになる場合もあります。
- 輸血ゆけつ
- 重い貧血のときなどに、ほかの犬・猫から提供された血液を補う治療です。動物には血液バンクが少ないため、病院によって実施できる体制が異なります。
- 全身麻酔ぜんしんますい
- 眠った状態にして、痛みも動きも完全になくす麻酔です。手術やCT・MRI検査で必要になります。事前に血液検査などで体の状態を確かめ、安全性を見極めてから行います。
- 療法食りょうほうしょく
- 病気の管理を目的に、栄養バランスを特別に調整したごはんです。薬と同じように「その病気のための設計」がされているため、獣医師と相談しながら使います。
- 緩和ケアかんわけあ
- 病気を治すことよりも、痛みやつらさを取り除いて「その子らしい毎日」を守ることを目的にしたケアです。治療をあきらめることではなく、目標を切り替えるという前向きな選択肢のひとつです。
- 摘出てきしゅつ
- 手術で、しこりや臓器を体から取り除くことです。
- インスリン
- 血糖値を下げる働きをもつホルモンです。糖尿病では足りなくなった分を、注射で補います。
- 内科治療ないかちりょう
- 手術をせずに、お薬や食事管理などで病気を抑えていく治療です。「外科(手術)で治すか、内科で付き合っていくか」という選択肢の形でよく登場します。
- 保存療法ほぞんりょうほう
- 手術をせずに、安静・お薬・リハビリなどで回復を待つ治療方針です。「保存」は「現状を保ちながら様子を見る」という意味で使われています。
- 減感作療法げんかんさりょうほう
- アレルギーの原因物質をごく少量ずつ体に慣らしていき、過剰な反応をやわらげていく治療です。効果が出るまで数ヶ月〜年単位の時間をかけて行います。
- 分子標的薬ぶんしひょうてきやく
- がん細胞が持つ特定の目印だけを狙い撃ちする薬です。全体を攻撃する従来の抗がん剤とは仕組みが異なり、腫瘍のタイプによって向き不向きがあります。
- 放射線治療ほうしゃせんちりょう
- 放射線をがんに当てて、がん細胞を壊す治療です。動物では照射のたびにじっとしている必要があるため、毎回全身麻酔(または鎮静)が必要になり、実施できる施設も限られます。
- 輸液ゆえき
- 点滴で水分やミネラルを補う治療です。脱水の改善や、腎臓の負担を減らす目的で、幅広い病気で使われます。
- 鎮静ちんせい
- お薬でうとうとと落ち着いた状態にすることです。完全に眠らせる全身麻酔より浅く、体への負担が少ない分、検査や短い処置で使われます。
- カテーテル
- 体の中に入れる、やわらかく細い管のことです。詰まったおしっこの通り道を確保するときなどに使われます。
- ステント
- 細くなったり詰まったりした管(気管や尿管など)を、内側から広げて支える小さな筒状の器具です。手術で体の中に留置します。
- 摘便てきべん
- たまって出せなくなった便を、処置で直接かき出すことです。重い便秘で行われ、多くは鎮静や麻酔をかけて行います。
症状・からだのことば
- 脱水だっすい
- 体の水分が足りなくなった状態です。皮膚をつまんで戻りが遅い、歯ぐきが乾いてねばつく、などがサインになります。
- 貧血ひんけつ
- 血液の中の赤血球が足りず、体に酸素を運びにくくなった状態です。歯ぐきや舌が白っぽくなる、すぐ疲れる、などがサインになります。
- 黄疸おうだん
- 皮膚や白目、歯ぐきが黄色っぽくなる状態です。肝臓・胆のうのトラブルや、赤血球が壊れる病気のサインとして現れます。
- 尿毒症にょうどくしょう
- 腎臓が老廃物を外に捨てられなくなり、本来おしっこで出ていくはずの毒素が体にたまってしまった状態です。強い吐き気や食欲不振の原因になります。
- 高カルシウム血症こうかるしうむけっしょう
- 血液の中のカルシウムが増えすぎた状態です。水をたくさん飲む・おしっこが増える・食欲が落ちる、といったサインが出て、続くと腎臓に負担がかかります。リンパ腫など一部の腫瘍が原因で起こることがあります。
- 腹水ふくすい
- おなかの中に水がたまった状態です。おなかだけがふくらんで見えるのがサインで、心臓・肝臓・腫瘍などさまざまな原因で起こります。
- 胸水きょうすい
- 肺のまわり(胸の中)に水がたまった状態です。肺がふくらみにくくなるため、呼吸が速い・苦しそうといったサインが出ます。
- リンパ節りんぱせつ
- 全身に張りめぐらされた免疫の「関所」です。あごの下・わき・後ろ足のつけ根などにあり、感染や腫瘍があると腫れて大きくなることがあります。
- 血栓けっせん
- 血管の中で血液が固まってできた、かたまりのことです。血管に詰まると(血栓症)、詰まった場所の先に血が届かなくなり、突然の強い症状を起こします。
- 脾臓ひぞう
- 胃のとなりにある、血液の管理を担う臓器です。古くなった赤血球の処分や免疫を助ける働きをしており、腫瘍ができやすい臓器のひとつでもあります。
- ショック
- 血圧が大きく下がって、体のすみずみに血液を送れなくなった危険な状態です。精神的なショックとは別の医学用語で、すぐに治療しないと命に関わります。
- 誤嚥性肺炎ごえんせいはいえん
- 食べ物や吐いたものが、誤って気管から肺に入ってしまうことで起こる肺炎です。飲み込む力が落ちている子で起こりやすく、命に関わることがあります。
- 跛行はこう
- 足をかばって、引きずるような歩き方のことです。痛みや関節の異常のサインで、「どの足を・いつから・どの程度」が診断の手がかりになります。
- 壊死えし
- 血液が届かないなどの理由で、体の組織が死んでしまうことです。壊死した部分は元に戻らないため、手術で取り除く必要があることが多いです。
- チアノーゼ
- 血液中の酸素が足りず、舌や歯ぐきが青紫色になる状態です。呼吸の緊急事態のサインで、見つけたらすぐに受診が必要です。
- 膿瘍のうよう
- 体の中で細菌感染が進み、膿(うみ)が袋状にたまったものです。切開して膿を出す処置や、抗生物質での治療が必要になります。
- 肉芽腫にくげしゅ
- 炎症が長く続いた場所に、免疫細胞が集まってできる「しこり」です。腫瘍(がん)ではありませんが、見た目では区別がつきにくいことがあります。
- 眼振がんしん
- 自分の意思と関係なく、眼が小刻みに揺れ続ける症状です。平衡感覚をつかさどる部分(前庭)の異常のサインとして現れます。
- 斜頸しゃけい
- 首がかたむいたままになる症状です。平衡感覚の異常のサインで、前庭疾患などで見られます。
- タンパク尿たんぱくにょう
- おしっこに、本来ほとんど漏れないはずのタンパク質が漏れ出ている状態です。腎臓のフィルターの傷みを示すサインで、量が多いほど注意が必要です。
- 電解質でんかいしつ
- ナトリウムやカリウムなど、体液に溶けているミネラルのことです。神経や心臓が正しく働くための土台で、嘔吐や下痢が続くとバランスが崩れます。
- 腫瘍しゅよう
- 体の細胞が過剰に増えてできた「できもの」の総称です。おだやかな良性と、広がっていく悪性(がん)があり、腫瘍=がんとは限りません。検査で見分けます。
- 内分泌ないぶんぴつ
- ホルモン(体の働きを調整する物質)を作って血液に送り出す仕組みのことです。「内分泌の病気」は、ホルモンが多すぎる・少なすぎることで起こる病気を指します。
経過・病気の性質のことば
- 急性きゅうせい
- 数時間〜数日の単位で、急に起こって速く進む、という病気の性質です。
- 慢性まんせい
- 数ヶ月〜数年の単位で、ゆっくり続いていく、という病気の性質です。治し切るより「長く上手に付き合う」ことが目標になる病気が多いです。
- 良性りょうせい
- 転移せず、まわりの組織を壊しにくい腫瘍の性質です。命に関わることは少ないものの、大きさや場所によっては治療が必要になります。
- 悪性あくせい
- まわりの組織に染み込むように広がったり、離れた場所に転移したりする腫瘍の性質です。いわゆる「がん」と呼ばれるのはこちらです。
- 転移てんい
- 腫瘍の細胞が血液やリンパの流れに乗って、離れた臓器に飛び火することです。転移の有無は、治療方針を決める大きな分かれ道になります。
- 再発さいはつ
- 治療でいったん落ち着いた病気が、時間をおいてまた現れることです。
- 寛解かんかい
- 症状や検査の異常が見えなくなった状態です。「完治」とは区別される言葉で、再発の可能性に備えて見守りを続けながらの、良い安定を指します。
- 予後よご
- 病気の「これからの見通し」のことです。「予後が良い」はこの先の経過に期待が持てること、「予後が厳しい」は難しい経過が予想されることを意味します。
- 合併症がっぺいしょう
- ある病気や治療がきっかけになって、別に起こってくる体のトラブルのことです。もとの病気とあわせて経過を見ていきます。
- 遺伝性いでんせい
- 親から受け継いだ体質が原因になる、という病気の性質です。かかりやすい犬種・猫種が知られていることが多いです。
- QOL(生活の質)
- Quality of Life の略で、その子が毎日をどれだけ心地よく過ごせているか、という物差しです。治療の強さを決めるとき、数値の改善と同じくらい大切にされます。
- 悪性度あくせいど
- 悪性の腫瘍の中での「たちの悪さの程度」です。悪性かどうかとは別の物差しで、高悪性度は進行が速く、低悪性度はゆっくり進む傾向を指します。
- 特発性とくはつせい
- くわしく調べても、はっきりした原因が見つからない、という意味の医学用語です。「原因不明のまま放置」ではなく、他の原因を除外したうえでの正式な診断名として使われます。
- 原発性げんぱつせい
- その臓器自体から病気が始まった、という意味です。ほかの病気の巻き添えで起こる「続発性(二次性)」と区別するために使われます。
- 続発性ぞくはつせい
- 別の病気が引き金になって起こった、という意味です。この場合、引き金になっている元の病気を探して治療することが大切になります。
- 基礎疾患きそしっかん
- その子がもともと持っている別の病気のことです。基礎疾患があると、新しい病気の経過や治療の選択肢に影響することがあります。
- 中央値ちゅうおうち
- データを小さい順に並べたとき、ちょうど真ん中にくる値です。「生存期間の中央値が1年」なら半数の子はそれより長く生きたという意味で、一部の極端な例に引っ張られる平均値より実感に近い目安になります。
この辞典は一般的な説明です。おうちの子の状態にあてはめた意味は、 かかりつけの獣医師に確認してください。