の基本情報

猫の慢性腸症(IBD)

監修:あき(獣医師)公開 2026.07.03

病院やおうちで気づいたら

中高齢の猫ちゃんで

  • 吐く回数が増え、下痢が続く
  • 診察で『腸が分厚い』と言われた

という場合、慢性腸症(IBD)の可能性があります。

アイの、ひとこと

腸に原因不明の慢性的な炎症が起こり、嘔吐や下痢、体重減少が続く病気です。

どんな病気?

胃や腸の粘膜に、明らかな原因がないまま慢性的な炎症が起こる病気です(以前はIBD・炎症性腸疾患とよく呼ばれていました)。炎症によって食べ物の消化や栄養の吸収がうまくできなくなるため、慢性的な嘔吐や下痢が続いたり、食べているのに痩せていったりします。食物アレルギーなどが絡んでいることもあり、食事や薬でうまく症状をコントロールしていくことが目標になります。

気づきのサイン(初期症状)

  • 月に何度も吐く(毛玉だけでなく、未消化のごはんや胃液を吐く)
  • 軟便や下痢が長期間(3週間以上)続いている
  • 食欲が落ちる、あるいは食べているのに少しずつ痩せてくる
  • お腹がギュルギュル鳴る、おならが増える
  • 毛づやが悪くなり、パサパサしてくる

かかりやすい子・特徴

  • 中高齢の猫(特に中高年期から多く見られますが、若い猫でも発症します)
  • シャム猫などの一部の猫種でやや多い傾向があります
  • 「猫はよく吐く生き物」という思い込みから、ただの体質だと見過ごされやすい傾向があります

診断に必要な検査

超音波(エコー)検査

腸の壁が分厚くなっていないか、リンパ節が腫れていないかを確認します(似た症状の「リンパ腫」との区別にも重要です)。

血液検査

体重減少の原因となる甲状腺機能亢進症など、他の病気が隠れていないかを調べます。

糞便検査

寄生虫や細菌など、下痢の直接的な原因が他にないかを除外します。

内視鏡・病理組織検査

(必要に応じて)全身麻酔をかけて直接腸の粘膜を少し採り、リンパ腫か慢性腸症かを顕微鏡で正確に区別します。

治療の柱

食事療法

アレルギーの原因になりにくい専用の療法食(新奇タンパクや加水分解タンパクなど)に切り替え、腸の炎症を落ち着かせます。

投薬治療(ステロイド・免疫抑制剤)

食事で改善しない場合、腸の過剰な免疫反応や炎症を抑え込むお薬を使います。

投薬治療(抗菌薬・整腸剤など)

腸内細菌のバランスを整えるお薬や、下痢止め、吐き気止めなどを補助的に使って症状を和らげます。

費用について

費用は、毎日の専用の療法食の費用や、お薬を続ける期間、内視鏡検査(全身麻酔が必要)を行うかどうかによって大きく変わります。長く付き合っていく病気だからこそ、まずは治療計画とあわせて費用の目安を相談すると安心です。ご家庭のペースも含め、無理なく続けられる通院の範囲を主治医と話し合いましょう。ペット保険に加入している場合は対象になることも多いため、あわせて確認してみてください。

これからの見通し

食事や薬が体に合えば、症状をうまくコントロールして穏やかな日々を長く過ごせるようになります。ただし、一度治まったように見えても再発しやすい病気のため、良くなった後も自己判断で食事を戻したり薬をやめたりせず、獣医師と相談しながら無理のないケアを続けていくことが大切です。

あとでマイページからいつでも見返せます

Tool

猫の慢性腸症(IBD)のケアを akiaia で記録する

食欲・体重・血液値の変化を、1 日 1 件で記録できます。診察室モードで主治医にそのまま見せられます。

※ 本ページは病気の基本を知るための一般的な情報です。診断・治療方針は必ず獣医師にご相談ください。