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糖尿病

治療できる病気。猫には「寛解」もある

最終更新: 2026.06.14

多くの猫が穏やかな毎日に。早く始めるほど、寛解の可能性も広がります

猫 · Feline Diabetes Mellitus

糖尿病

動物病院で言われたら

健康診断などで「血糖値が高い」と言われたら、糖尿病かもしれません。

アイの、そっとささやき

アイの、そっとささやき

猫の糖尿病は、決して、一生注射に耐えなければならない病気ではありません。早期の治療で、お薬が要らなくなる子もいます。今の愛猫とあなたに合う、無理のない治療法を一緒に見つけていきましょう。

30 秒でわかる、この病気について

—

広がる選択肢·従来の注射だけでなく、1 日 1 回の飲み薬(液剤)も選べるようになりました。

—

寛解の可能性·早期に治療を始めることで、将来お薬が不要になる状態を目指せる子もいます。

—

はじめの注意·飲み薬を始めて最初の 2 週間は、食欲や元気が急に落ちる危険な状態(ケトアシドーシス)が起こりやすい時期です。

毎日の治療

注射か、飲み薬か。治療法は選べます

どちらの治療でも、多くの猫が落ち着いた毎日を取り戻せます。その子に向いているのはどちらか、獣医師と一緒に考えていきます。

飲み薬

経口SGLT2阻害薬

注射

インスリン

こんな子に

はじめて糖尿病とわかり、元気で食欲があり、水も飲めている子

すべての糖尿病の子。体調をくずした子や、脱水のある子にも使えます

お薬の使い方

1 日 1 回、口に入れるか、少量のごはんに混ぜます(液剤)

1 日 1〜2 回、皮ふの下に注射します

気をつけたいこと

飲みはじめ 2 週間ごろに起こりやすい「ケトアシドーシス」(体調の急変)

お薬が効きすぎたときの「低血糖」

寛解(お薬からの卒業)

まだ十分なデータがそろっていません

早めの食事の工夫と組み合わせて、寛解できた記録が多くあります

飲み薬経口SGLT2阻害薬
こんな子に
はじめて糖尿病とわかり、元気で食欲があり、水も飲めている子
お薬の使い方
1 日 1 回、口に入れるか、少量のごはんに混ぜます(液剤)
気をつけたいこと
飲みはじめ 2 週間ごろに起こりやすい「ケトアシドーシス」(体調の急変)
寛解(お薬からの卒業)
まだ十分なデータがそろっていません
注射インスリン
こんな子に
すべての糖尿病の子。体調をくずした子や、脱水のある子にも使えます
お薬の使い方
1 日 1〜2 回、皮ふの下に注射します
気をつけたいこと
お薬が効きすぎたときの「低血糖」
寛解(お薬からの卒業)
早めの食事の工夫と組み合わせて、寛解できた記録が多くあります

このほかに、インスリンの種類選びや、低炭水化物の食事の工夫もあります。

それぞれの治療で、期待できることと気をつけたいことを見ていきましょう。

飲み薬を選んだら

つらい症状が、やわらいでいきます

飲みはじめてから、多くの猫の「水の飲みすぎ」「おしっこの多さ」がやわらぎました。

92%

1 つ以上の症状が、やわらいだ猫

大規模な臨床試験(252 頭・180 日)

75%

よく水を飲む

「多飲」が改善した子

73%

おしっこが多い

「多尿」が改善した子

血糖の値も、97% の猫で改善しました。

気をつけたいこと

低血糖はほとんど起きません。いちばんの注意は、飲みはじめ 2 週間ごろの「ケトアシドーシス(体調の急変)」です。食欲や元気が落ちたら、早めに病院へ相談を。便がやわらかくなる子もいますが、多くは自然に落ち着きます。

飲み薬で寛解できるかどうかは、まだ十分なデータがそろっていません。

注射を選んだら

「寛解(注射からの卒業)」を目指せる子がいます

血糖が安定すると、インスリンが要らなくなる子がいます。犬や人では珍しく、猫ならではのことです。

全体の平均では

#1 — 寛解できる子
#2 — 寛解できる子
#3 — 寛解できる子
寛解できる子30%

10 匹のうち、およそ 3 匹。けっして、まれではありません。

しっかり管理できた子では

診断から早く、しっかりした血糖管理を始めた子ほど、インスリンから離れられた割合は高くなりました。

診断から半年以内に管理を始めた子84%
半年を過ぎてから管理を始めた子35%

たとえ、しっかりした管理を始めたのが診断から半年を過ぎていても、35% の猫が寛解できたという研究があります。※多くは、ほかの治療を受けたあとに、しっかりした管理へ切り替えた猫たちです。「全体の平均」とは別のグループの数字です。

気をつけたいこと

お薬が効きすぎると「低血糖」が起こります。だから、ごく少量から慎重に始めます。持続血糖モニター(CGM)を使えば、症状が出る前の「下がりすぎ」に気づけます。

注射は、体調をくずした子もふくめてどんな子にも使えます。多飲多尿などのつらい症状も、注射でやわらいでいきます。

表示される数値は統計的な参考値であり、個別の診断や治療方針を確定させるものではありません。治療・お薬・食事の判断は、必ずかかりつけの獣医師にご相談ください。

治療しながら、穏やかに暮らせる病気

猫の糖尿病と診断されると、「毎日インスリンの注射を、一生…?」と不安になる方がほとんどです。インスリンは、足りない分を注射で補うお薬で、毎日のケアは確かに必要です。けれど、いまは注射に加えて 1 日 1 回の飲み薬という選択肢も増え、多くの猫が症状のない穏やかな毎日に戻れます。さらに、早くしっかり管理できた子は、お薬そのものが要らなくなる「寛解(かんかい)」を目指せることもあります。

治療の柱は、血糖値を安定させること

治療の柱は、高すぎる血糖値を適切にコントロールすることです。日本では長くインスリン注射が中心でしたが、2024 年からは飲み薬(液剤)も加わり、選べる道が広がりました。新しい飲み薬は、これまで糖尿病の治療を受けておらず、いま元気で食欲がある子が対象です。もし愛猫が吐いていたり、ぐったりしている場合は、すべての糖尿病の子に対応できる注射の治療が優先されます。あわせて、低炭水化物・高たんぱくの食事や、適正な体重を保つことも、血糖の安定を助けます。

数字が示す、ふたつの希望

新しい飲み薬の大規模な試験(252 頭・180 日)では、92% の猫で 1 つ以上の症状が改善し、多くの子で多飲・多尿が落ち着きました。血糖の値も、97% の猫で改善しています。

一方で、従来のインスリン注射にも確かな実績があります。診断から 6 ヶ月以内に、しっかりした血糖管理を始めた場合、84% の子でお薬が不要になったという記録があります。6 ヶ月以降に始めた場合は 35% にとどまりました。これは家庭でこまめに血糖を管理した猫たちのデータで、平均(およそ 3 割)より高めですが、「早く始めるほど寛解しやすい」という傾向ははっきりしています。

注意点と、その見守り方

どんなお薬にも、注意すべき点があります。インスリン注射でいちばん気をつけたいのは、お薬が効きすぎてしまう「低血糖」です。一方、飲み薬は低血糖のリスクは低いものの、「ケトアシドーシス」という危険な状態になることがあります。とくに飲みはじめの最初の 2 週間に起こりやすいため、この期間は食欲や元気を注意深く見守る必要があります。

なお、注射を使っても血糖値がなかなか下がらないこともあります。その場合、糖尿病の猫の 15〜25% で、背景に「先端巨大症(成長ホルモンが多く出る病気)」という別の病気が隠れていることが確認されています。治療がうまくいかないときは、こうした別の要因がないか、獣医師と相談することが大切です。

かかりつけ医への、具体的な問いかけ

この数値は「統計的な傾向」であり、あなたの猫ちゃんの固有の未来を示すものではありません。同じ診断を受けた子たちのデータを、獣医師との対話の材料として役立てていただければ幸いです。

お薬の選び方や、自宅での生活リズムについて、獣医師と話し合ってみましょう。明日の診察では、ぜひこう尋ねてみてください。

「うちの子は、飲み薬から始められる状態でしょうか?」

「自宅では、どのような体調の変化に一番気をつければよいですか?」

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体重・食欲・飲水量・血糖値の記録を 1 日 1 件で残せます。診察室モードで主治医にそのまま見せられます。

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参考文献

  • AAHA. 2026 AAHA Diabetes Management Guidelines for Cats. J Am Anim Hosp Assoc. 2026;62:65–93.
  • Roomp K, Rand J. Intensive blood glucose control is safe and effective in diabetic cats using home monitoring and treatment with glargine. J Feline Med Surg. 2009;11:668–682.
  • Hadd MJ, et al. Safety and effectiveness of the sodium-glucose cotransporter inhibitor bexagliflozin in cats newly diagnosed with diabetes mellitus. J Vet Intern Med. 2023;37:915–924.
  • Behrend EN, et al. Velagliflozin, a once-daily, liquid, oral SGLT2 inhibitor, is effective as a stand-alone therapy for feline diabetes mellitus: the SENSATION study. J Am Vet Med Assoc. 2024;262:1343–1353.
  • ベーリンガー・インゲルハイム. センベルゴ(ベラグリフロジン)製品情報・国内臨床試験/承認申請資料.
  • Scudder C, Church D. Hypersomatotropism-induced diabetes in cats. J Feline Med Surg. 2024;26.

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