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猫 · Feline Hyperthyroidism
甲状腺機能亢進症
動物病院で言われたら
高齢の猫で「甲状腺の数値(T4)が高い」と言われたら、この病気の可能性があります。
アイの、そっとささやき
アイの、そっとささやき
甲状腺機能亢進症は、高齢の猫にとても多い病気です。そして、きちんと治療できる病気でもあります。日本では毎日の「お薬」か「療法食」で穏やかに付き合っていく猫が多く、どちらが合うかは獣医さんと一緒に決めていけます。これからのことを焦らず、ひとつずつ整理していきましょう。
30 秒でわかる、この病気について
治療できる病気·高齢猫で最も多いホルモンの病気。お薬や食事でコントロールでき、根治を目指す道もあります。
お薬や食事で付き合える·毎日のお薬や療法食でコントロールでき、治療した子は、数年単位の時間をお家で穏やかに過ごせます。
腎臓病が隠れることも·甲状腺機能亢進症が腎臓病を隠してしまうため、治療後に初めて見つかることがあります。
治療すれば、穏やかな時間が続きます
甲状腺機能亢進症は、きちんと治療できる病気です。
98%
が良性
がん(悪性)はわずか約2%
約2年
一緒に過ごせる目安
お薬で治療した猫の生存期間中央値
診断時すでに平均15歳前後。多くは年齢を重ね、甲状腺以外の理由で旅立った猫たちの数字です。
毎日の治療は、お薬か食事で日本で選べる、現実的な2つの道
多くの猫は、このどちらかの治療で、穏やかに病気と付き合っていけます。どちらが合うかは、獣医さんと相談して決めます。
お薬を飲める子に
毎日の飲み薬や、耳に塗る薬で、増えすぎたホルモンを抑えます。
薬が飲めない・嫌がる子に
専用の療法食だけで、ホルモンを抑えます。ほかの食べ物はあげられません。
このほかに、根治を目指す手術や放射性ヨウ素という方法もあります。どの治療が合うかは、その子の状態にあわせて獣医師と相談して決めます。
治療を始めたら、知っておいてほしいこと
治療で甲状腺ホルモンが下がると、それまで隠れていた腎臓の不調が、見つかることがあります。
治療前
甲状腺が、腎臓の不調を隠している
治療後(約4頭に1頭)
隠れていた腎臓の不調が見つかる
これは、新たに腎臓が悪くなったわけではありません。慌てず、獣医さんと一緒に、ひとつずつケアしていきましょう。
猫の慢性腎臓病(CKD)について詳しく見る →甲状腺機能亢進症の、見つけ方について
甲状腺機能亢進症は、高齢の猫で最も多いホルモンの病気です。よく食べるのに痩せる、活発すぎる、毛づやが悪いといったサインで気づかれます。多くは血液検査の甲状腺ホルモン(T4)で診断でき、適切な治療で「治せる」病気です。
診断とモニタリングを支える、T4 という数値
診断は主に総サイロキシン(総T4)で行います。基準値を超えて持続的に高ければ、甲状腺機能亢進症が強く疑われます。数値がはっきりしないときは、追加の検査で、より詳しく確かめます。
- —基準値 —総T4がこの範囲を超えて高ければこの病気を疑う0.8〜4.0 μg/dL
- —治療中の目安 —ホルモンが下がりすぎないよう、この範囲を目標に保ちます1.0〜2.5 μg/dL
- —追加検査 —数値だけでは判断しにくいときに追加遊離T4・TSH・甲状腺シンチグラフィ
※ 治療中はT4とあわせて腎機能(クレアチニン・SDMA)と血圧の確認が勧められます。これらの数値の管理とお薬の調整は、獣医師が行います。
毎日の投薬が、長く穏やかな日々をつなぐ
甲状腺機能亢進症は、根治治療(手術・放射性ヨウ素)も可能ですが、日本では毎日の「お薬」で上手に付き合っていくのがもっとも一般的な選択肢です。ある研究では、飲み薬だけでコントロールした猫でも中央値で2年という、長く穏やかな時間を一緒に過ごせたと報告されています。なお、この研究の対象は15歳前後の高齢の猫たちで、「中央値」とは半数がそれより長く過ごせたという意味です。「あと2年」を示すものではありません。亡くなる原因の多くも、甲状腺の病気そのものではなく、加齢やほかの持病によるものと考えられています。悪性(がん)はわずか約2%で、ほとんどは良性です。未治療のまま様子を見るより、早めにお薬でケアを始めることが勧められます。
お薬の安全性と、続けやすさ
飲み薬(メチマゾール)では、はじめのうちは嘔吐や食欲不振などの軽い副作用が出ることがありますが、多くは続けるうちに落ち着きます。ごくまれに、肝臓や白血球の数値に変化が出ることもありますが、その場合もお薬を見直すことで対応できます。お薬の良いところは、体に合わないときに獣医師と相談して量を変えたり、別の方法へ切り替えたりと、調整が利くことです。じつは、効きすぎてホルモンが下がりすぎると、かえって腎臓に負担がかかることがあります。だからこそ獣医師は、高すぎず低すぎずのちょうどよい範囲に保ちつつ、T4だけでなく腎臓・肝臓・血液(白血球など)の数値もあわせて、定期的に確認していきます。
かかりつけ医への、具体的な問いかけ
このデータは診断を確定させるものではありません。しかし、次回の診察で以下を尋ねることが、具体的な第一歩になります。
「うちの子に向いている治療法(薬・食事・手術・放射性ヨウ素)はどれですか?」
「治療の前後で、腎臓の数値(クレアチニン・SDMA)はどう変わりそうですか?」
「お薬が効きすぎていないか、ホルモン値(T4)はどのくらいの頻度で確認しますか?」
腎臓のことも気になる方へ
甲状腺の治療では、腎臓のケアも大切です
高齢の猫では、甲状腺機能亢進症と慢性腎臓病(CKD)が同時に見つかることが珍しくありません。甲状腺の治療をきっかけに、隠れていた腎臓の不調が見つかることもあるため、2つを一緒に診ていく視点が大切です。
猫の慢性腎臓病(CKD)のページへ →Tool
甲状腺機能亢進症(猫)のケアを akiaia で記録する
体重・食欲・T4・クレアチニン/SDMA など、治療の経過を 1 日 1 件で記録できます。診察室モードで主治医にそのまま見せられます。
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参考文献
- Milner RJ, et al. Survival times for cats with hyperthyroidism treated with iodine 131, methimazole, or both. JAVMA. 2006;228:559–563.
- Peterson ME. Hyperthyroidism in Cats: Considering the Impact of Treatment Modality on Quality of Life. Vet Clin North Am Small Anim Pract. 2020;50:1065–1083.
- Geddes RF, Aguiar J. Balancing hyperthyroidism and concurrent chronic kidney disease. J Feline Med Surg. 2022;24:641–650.
- Williams TL, Elliott J, Syme HM. Association of iatrogenic hypothyroidism with azotemia and reduced survival time in cats treated for hyperthyroidism. J Vet Intern Med. 2010;24:1086–1092.
- Peterson ME, Carmody S, Rishniw M. Hyperthyroid cats that develop azotemia following successful radioiodine treatment have shorter survival times. JAVMA. 2024.
- 2023 AAHA Selected Endocrinopathies of Dogs and Cats Guidelines. / 2016 AAFP Guidelines for the Management of Feline Hyperthyroidism.
※ 数値は統計的な参考値であり、個別の診断を確定させるものではありません。獣医師との対話の材料として活用してください。