猫の口腔内腫瘍
監修:あき(獣医師)公開 2026.06.18
動物病院で言われたら
中高齢の猫ちゃんで
- 「口の中にしこりがある」
- 「口の中のただれ(潰瘍)がなかなか治らない」
と言われた場合、口腔内腫瘍の可能性があります。
アイの、ひとこと
アイの、ひとこと
シニア期の猫ちゃんに多く見られる、口の中の粘膜や歯茎にできるがん(悪性腫瘍)です。
どんな病気?
猫の口腔内腫瘍は、歯茎や舌、上あごなどの口の中にできる「がん」です。その多くは「扁平上皮癌(へんぺいじょうひがん)」と呼ばれる悪性腫瘍で、転移はしにくいものの、周囲の歯茎やあごの骨の奥深くに広がっていく(浸潤する)特徴があります。進行が早く、初期は口内炎や歯周病と見分けがつきにくいため、発見が遅れやすい病気です。
気づきのサイン(初期症状)
- よだれが増える(血が混じることがある)
- 口臭が急にきつくなる
- ごはんを食べこぼす、食べるのを痛がる・嫌がる
- 前足で口のまわりを気にする仕草が増える
- (進行すると)顔が腫れてきたり、形が変わってくる
かかりやすい子・特徴
- 中高齢の猫(特に10歳以上のシニア期から多く見られます)
- 口の中の腫瘍では、扁平上皮癌という悪性のタイプが大部分を占めます
- 治りにくい重度の口内炎や歯周病の奥に隠れていることがあります
診断に必要な検査
視診・触診
お口の中を直接見て、しこりの場所や大きさ、出血の有無を確認します。
細胞診・組織生検
しこりの一部に針を刺したり切り取ったりして、がん細胞かどうかを顕微鏡で詳しく調べます。
画像検査(レントゲンやCT)
あごの骨まで病気が広がっていないか、他の臓器への転移がないかを立体的に確認します。
治療の柱
外科手術
がん細胞を確実に取り除くため、しこりだけでなく周囲の正常な組織やあごの骨の一部を含めて広く切除することがあります。
放射線治療・抗がん剤治療
手術が難しい場合や、手術の後にがんの進行を抑える目的で行うことがあります。
緩和ケア(痛み止め・栄養サポート)
痛みを取り除き、お薬やチューブを使った給餌などでごはんを食べやすくする工夫をし、穏やかな生活を支えます。
費用について
費用は、手術の規模やCT検査の有無、放射線治療を行うかどうかで大きく変わります。また、お口の痛みを和らげるケアや食事のサポートをどこまで行うかによっても異なります。まずは治療計画とあわせて具体的な費用の目安を相談すると安心です。ご家庭のペースや方針も含め、無理なく続けられる範囲を主治医と話し合いましょう。ペット保険に加入している場合は対象になることも多いため、確認してみてください。
これからの見通し
進行が早く、お口の痛みから生活の質が落ちやすい病気ですが、早期に発見して痛みを和らげる治療を始めることで、穏やかに過ごせる時間を保ちやすくなります。まずは猫ちゃんが少しでも楽にごはんを食べられるよう、無理のないケアの計画を立てることが大切です。
タイプについて
猫の口腔内腫瘍は、細胞の種類によって主に「扁平上皮癌」「線維肉腫」などに分かれ、なかでも扁平上皮癌が最も多く見られます(黒色腫などは猫では比較的まれです)。タイプによって進行のペースや治療の選択肢がまったく異なるため、まずは「どのタイプか」をしっかり見極めることが治療の第一歩になります。
タイプ別にもっと詳しく
猫の口腔内腫瘍はタイプによって進行や見通しが変わります。気になるタイプを選ぶと、統計・予後データが見られます。
扁平上皮癌(SCC)
公開中猫の口腔内腫瘍で最も多く、骨の奥深くに広がりやすいタイプ
統計・予後データを見る線維肉腫
準備中歯茎などに発生し、大きくなりやすいタイプ
その他の腫瘍
準備中黒色腫(メラノーマ)など。猫では比較的まれなタイプ
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※ 本ページは病気の基本を知るための一般的な情報です。診断・治療方針は必ず獣医師にご相談ください。