の基本情報

犬の巨大食道症

監修:あき(獣医師)公開 2026.07.10

おうちでこの症状を見たら

  • 食べたものを未消化のまま吐き出す
  • 食後すぐにケロリと吐き戻す

という場合、巨大食道症の可能性があります。

アイの、ひとこと

食道の筋肉がうまく動かずにゴムホースのように伸びきってしまい、食べ物が胃に送られなくなる病気です。

どんな病気?

食べたものを胃に運ぶための「食道」が、うまく動かずに太く拡張してしまう病気です。食べ物や水が胃へ送られずに食道に溜まってしまうため、未消化のまま吐き出して(吐き戻して)しまいます。食べ物が誤って気管に入り「誤嚥性肺炎(ごえんせいはいえん)」を起こすと命に関わる緊急事態になることもあるため、食事の与え方に特別な工夫が必要になります。

気づきのサイン(初期症状)

  • 食べた直後やしばらく経ってから、未消化のごはんをそのまま吐き出す
  • 吐くときに、お腹を波打たせるような苦しそうな動作をしない(ケロリと出す)
  • 食欲はあるのに、吐いてしまうため少しずつ痩せてくる
  • 食べ物や水を飲み込みにくそうにする、よくむせる
  • カハッという咳をする、呼吸が荒くなる(※誤嚥性肺炎の危険なサインです)

かかりやすい子・特徴

  • 生まれつき食道に異常がある「先天性」と、中高齢になってから発症する「後天性」があります
  • ミニチュア・シュナウザー、ジャーマン・シェパード、ラブラドール・レトリーバーなどでやや多く見られる傾向があります
  • 重症筋無力症やホルモンの病気など、他の病気が引き金となって発症することもあります

診断に必要な検査

レントゲン検査

食道に空気や食べ物が溜まって異常に太くなっていないか、誤嚥性肺炎を起こしていないかを調べます。

バリウム検査(造影検査)

特殊な造影剤を飲ませて、食道の動きの悪さや広がり具合を詳しく確認します。

血液検査

重症筋無力症や甲状腺機能低下症など、巨大食道症の引き金となる別の病気が隠れていないかを調べます。

治療の柱

食事管理(立位での給餌)

食道にごはんがとどまらないよう、後ろ足で立たせた姿勢(縦抱きなど)で食事を与え、食後も重力で胃に落ちるまで15〜30分ほどその姿勢を保ちます(これが非常に重要なケアになります)。

食事形態の工夫

ワンちゃんの状態に合わせて、スムーズに胃に落ちやすいように流動食にしたり、お団子状に丸めたりと、ごはんの硬さや形状を調整します。

基礎疾患の治療・対症療法

引き金となっている別の病気がある場合はその治療を行い、誤嚥性肺炎を起こしている場合は抗生物質などで早急に治療します。

費用について

費用は、誤嚥性肺炎を起こして入院が必要になるか、原因となる別の病気のお薬が必要になるかによって大きく変わります。毎日の特別な食事ケアが欠かせない病気だからこそ、まずは治療計画とあわせて費用の目安を相談し、ご家庭のペースも含めて無理なく続けられるケアの範囲を主治医と話し合いましょう。ペット保険に加入している場合は対象になることも多いため、あわせて確認してみてください。

これからの見通し

一度伸びきってしまった食道の動きを完全に元に戻すことは難しいですが、立たせた姿勢での食事ケアを根気よく続けることで、吐き戻しや肺炎のリスクを減らすことができます。毎日のごはんに時間と工夫が必要になるため、獣医師と相談しながら、ワンちゃんとご家族の双方にとって無理のないケアの方法を見つけていくことが大切です。

あとでマイページからいつでも見返せます

Tool

犬の巨大食道症のケアを akiaia で記録する

食欲・体重・血液値の変化を、1 日 1 件で記録できます。診察室モードで主治医にそのまま見せられます。

※ 本ページは病気の基本を知るための一般的な情報です。診断・治療方針は必ず獣医師にご相談ください。