の基本情報

犬の前十字靭帯断裂

監修:あき(獣医師)公開 2026.07.01

おうちでこの症状を見たら

  • 突然キャンと鳴いてうしろ足を上げた
  • ずっと足を浮かせてケンケンして歩く

という場合、前十字靭帯断裂の可能性があります。

アイの、ひとこと

膝の関節を支える重要な靭帯が切れてしまい、強い痛みで足を地面に着けなくなる病気です。

どんな病気?

膝の関節を安定させている「前十字靭帯」という太いすじが、部分的に、または完全に切れてしまう病気です。人間のスポーツ外傷とは異なり、犬の場合は加齢や肥満によって靭帯が少しずつ弱くなり、何気ない日常の動作で切れてしまうことが多くあります。断裂した膝では骨同士がぐらつくため、クッションの役目をする半月板を痛めてしまうことも少なくありません。放置すると関節の軟骨がすり減り、変形性関節症が進行してしまいます。

気づきのサイン(初期症状)

  • 散歩中やジャンプの後に突然キャンと鳴いて、片方のうしろ足を上げる
  • 痛い方の足を地面に着けず、常にケンケンして歩く
  • おすわりをするときに、痛い方の足を外側に投げ出して座る(お姉さん座り)
  • 膝の関節が腫れて、触られるのを嫌がる
  • (時間が経つと)足を引きずりながらも歩けるようになるが、運動後にまた痛がる

かかりやすい子・特徴

  • 中高齢の犬(靭帯の劣化が進むため多く見られます)
  • 肥満気味で、膝に日常的な重い負担がかかっている子
  • ラブラドール・レトリーバーやゴールデン・レトリーバーなどの大型犬
  • トイ・プードルや柴犬などの小型・中型犬でも多く発症します

予防法について

適正体重を保つことで、靭帯への負担を減らし、発症のリスクを抑えられます。

診断に必要な検査

触診・整形外科的検査

獣医師が膝を触って動かし、骨が前後に異常なズレ(ぐらつき)を起こさないかを確認します。

レントゲン検査

骨のズレ具合や、膝の関節にお水が溜まっていないか、関節炎が起きていないかを調べます(靭帯そのものは写りません)。

治療の柱

外科手術

膝のぐらつきをなくすために、骨を切って関節の角度を調整する手術(TPLOなど)や、人工の糸で固定する手術などを行い、根本的な解決を目指します。手術の際にあわせて半月板の損傷を確認し、必要な処置を行うこともあります。

内科治療(保存療法)

痛み止めのお薬や絶対安静、体重管理によって炎症を抑えます(小型犬や手術が難しい場合に選ばれますが、関節炎は進行しやすくなります)。

リハビリテーション

手術の前後や内科治療と並行して、筋肉を落とさないための運動やストレッチを行い、足の機能を回復させます。

費用について

費用は、お薬と安静による内科治療で様子を見るか、外科手術を行うかによって大きく変わります。また、手術の場合は術後のリハビリや定期的な検診にも期間と費用がかかります。まずは治療計画とあわせて費用の目安を相談すると安心です。ご家庭のペースやワンちゃんの体格も含め、無理なく続けられる範囲を主治医と話し合いましょう。生まれつきの骨格や遺伝的な要因が関わる病気のため、保険会社によっては補償の対象外となることがあります。ペット保険に加入している場合は、事前に補償範囲を確認しておくと安心です。

これからの見通し

手術と適切なリハビリを行うことで、再び元気に走り回れる毎日につながります。手術をしない場合でも、お薬や体重管理で日常生活を送ることはできますが、関節炎が進行しやすくなります。ワンちゃんの年齢や活発さに合わせた、無理のない治療計画を立てることが大切です。

あとでマイページからいつでも見返せます

Tool

犬の前十字靭帯断裂のケアを akiaia で記録する

食欲・体重・血液値の変化を、1 日 1 件で記録できます。診察室モードで主治医にそのまま見せられます。

※ 本ページは病気の基本を知るための一般的な情報です。診断・治療方針は必ず獣医師にご相談ください。