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尿道閉塞と言われたら?一刻を争う危険と、退院後の備え

監修:あき(獣医師)最終更新 2026.07.08

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このページでは、おしっこが詰まる「尿道閉塞」の危険性と、一命を取り留めた後にやってくる「退院後の再閉塞」の現実、そしてそれを防ぐための治療の選択肢について解説します。

こんな飼い主さんへ

  • 愛猫が尿道閉塞で救急処置を受け、なぜ入院が必要なのか、その期間の目安を知りたい方
  • 退院後の自宅での観察ポイントや、処方されるお薬について知りたい方

尿道閉塞とは?なぜ「一刻を争う」のか

尿道閉塞は、おしっこの通り道である尿道に結石や栓(プラグ)が詰まり、尿が全く出なくなる超緊急事態です。尿が出なくなると、36〜48時間ほどで血液中に毒素が溜まる「尿毒症」に陥り、放置すればおよそ72時間(3日程度)で命を落とす非常に危険な状態です。

何度もトイレに行くのに尿が出ていない、苦しそうに鳴く、嘔吐するなどのサインが見られたら、夜間であっても一刻も早く救急病院で詰まりを解除する処置を受ける必要があります。

一命を取り留めても、本当の戦いは「退院後1週間」

病院に駆け込み、適切な処置で閉塞を解除できれば、9割以上の猫が生存して退院することができます。しかし、無事に一命を取り留めたとしても安心はできません。尿道閉塞は非常に再発しやすく、ある研究では、退院した猫のうち長期的に約36%が再び詰まってしまう(再閉塞)という過酷な現実が報告されています。

退院後、長期的にみて再び尿道が詰まってしまう猫の割合

退院した100匹の猫のうち
36再閉塞を起こしてしまいます

さらに、別の研究では、再閉塞を起こした猫の95%が「カテーテルを抜いてから1週間以内」に、平均2.2日という早さで再び詰まっていたと報告されています。退院直後こそが、もっとも警戒が必要な期間だということです。

日帰り治療の代償:なぜ「入院」が必要なのか?

尿道閉塞の治療は入院を伴うことが多く、費用も高額になりがちです。もし何らかの事情で「1回だけカテーテルを通して詰まりを抜き、そのまま日帰りで自宅に帰る」という対応になった場合、退院後30日以内の再閉塞率は31%にまで跳ね上がることが、海外の研究で分かっています。一方で、数日〜1週間程度カテーテル(尿道に入れる管)を留置(入れたままに)して入院し、点滴で尿を洗い流しながら尿道を休ませる標準的な管理を行うと、同じ30日以内の再閉塞率は11%にまで抑えられます。

入院管理と日帰り治療における、30日以内の再閉塞率の比較

入院管理(留置カテーテル)

11%

日帰り治療(1回だけ導尿)

31%

費用の負担は大きくなりますが、猫ちゃんの命を守り、再び苦しい思いをさせないためには、留置カテーテルを用いた入院管理が強く推奨されます。

処方薬(プラゾシン)の事実と、獣医師との関わり方

退院後、尿道の痙攣を和らげて再発を防ぐ目的で「プラゾシン(人用:ミニプレスなど)」というお薬が、これまで広く処方されてきました。しかし、比較試験ではその予防効果は証明されておらず、388頭を対象にした大規模な調査では、むしろ投与した猫の方が14日以内の再閉塞が多かったという報告もあります。

大規模調査(388頭)における、プラゾシン投与と14日以内の再閉塞率

投与なし

13%

投与あり

24%

プラゾシンが処方された場合、「この薬は危険だから飲ませない」と自己判断で中断するのは望ましくありません。獣医師は猫ちゃんの苦痛を和らげるという善意とこれまでの慣習から処方しています。「最新の研究で再発リスクに関する報告があると聞いたのですが、うちの子には必要でしょうか?」と、主治医と対話するための知識として活用してください。

命を守るための「自宅での観察」

退院後、とくに最初の1週間は、絶対に目を離してはいけません。以下のサインが見られた場合は、再び尿道が詰まりかけている可能性が高いため、昼夜を問わずすぐに病院へ向かってください。

  • 何度もトイレに行くが、おしっこが数滴しか出ない、または全く出ていない

  • トイレでいきみながら、苦しそうに大きな声で鳴く

  • トイレ以外の場所で粗相をしてしまう

  • ぐったりしている、または嘔吐する

根本的な解決には、危機を脱した後に、特発性膀胱炎結石といった「なぜ詰まったのか」という原因に合わせた食事や環境のケアを続けることが不可欠です。

まとめ:明日の診察室で聞きたいこと

このページの振り返り

  • 尿道閉塞は超緊急事態です。放置すれば数日で命に関わるため、すぐに病院へ。
  • 退院後1週間以内が最も再閉塞しやすく、細心の注意が必要です。
  • 日帰り治療は再閉塞リスクが高いため、カテーテル留置による入院管理が推奨されます。
  • プラゾシンが処方された場合は、自己中断せず獣医師と必要性を相談しましょう。

診察室で、こう聞いてみる

入院してカテーテルを留置する治療は、期間や費用はどれくらいになりますか?

もし退院後におしっこが出なくなったら、夜間でもすぐに連れてきて大丈夫ですか?

プラゾシンというお薬は最新の研究でリスクがあると聞いたのですが、うちの子には必要でしょうか?

表示される数値は統計的な参考値であり、個別の診断を確定させるものではありません。

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参考文献

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  • Conway DS, Rozanski EA, Wayne AS. Prazosin administration increases the rate of recurrent urethral obstruction in cats: 388 cases. J Am Vet Med Assoc. 2022;260(S2):S7-S11. doi.org
  • Merck Veterinary Manual. Urethral Obstruction in Small Animals. Professional Version. Last updated May 2025. merckvetmanual.com

※ 表示される数値は統計的な参考値であり、個別の診断を確定させるものではありません。 本ページの情報は獣医師が監修していますが、治療方針は必ずかかりつけの獣医師とご相談ください。