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このページでは、尿結石が見つかった猫ちゃんのために、2大結石であるストルバイトとシュウ酸カルシウムの違いと、今後の治療・再発予防方針の分かれ道について解説します。
こんな飼い主さんへ
- —検査で結石が見つかり、これから治療方針を決めていく方
- —結石予防のフード選びで、どうして自己判断が危険なのか知りたい方
そもそも、結石とは?
猫の下部尿路(膀胱や尿道)にできる結石は、おしっこに含まれるミネラル成分が結晶のように固まったものです。血尿や頻尿のきっかけになるほか、特にオス猫では尿道に詰まって命に関わることもあります。 健診や、こうした症状をきっかけにした検査で見つかることは少なくありません。
猫の結石の9割は、この2タイプ
ここから先の治療方針は、その結石が何でできているか(成分)によって大きく変わります。猫の膀胱結石の90〜95%は「ストルバイト」か「シュウ酸カルシウム」のどちらかを主成分とするもので、発生する割合はほぼ半々です。
結石の正確な成分は、事前に確定させることはできません。ただし、尿検査でわかる尿の性質(pH)や、顕微鏡で見える結晶の形を手がかりに「どちらの可能性が高いか」を予測し、最初の治療方針を立てます。
ストルバイト
食事で溶かせる- 尿の性質
- 中性〜アルカリ性でできやすい
- 形
- 角ばった四角い形
シュウ酸カルシウム
溶けない(摘出が必要)- 尿の性質
- 酸性でできやすい
- 形
- 封筒のような形(正八面体)
ストルバイトなら「食事で溶かす」が第一選択
ストルバイト結石の可能性が高い場合、すぐに手術をする必要はありません。専用の溶解食(尿を酸性にし、ミネラルを制限する療法食)を食べることで、通常は14〜21日(約2〜3週間)ほどで結石を溶かすことができます。大きい結石など条件によっては、最長で56日程度(約2ヶ月)かかることもあります。
シュウ酸カルシウムは「溶けない」ため、どう取り除くか
一方、シュウ酸カルシウム結石は食事療法で溶かすことができません。そのため、症状がある場合は物理的に取り除く必要があります。しかし、いきなり お腹を開く手術(膀胱切開)を選ぶ前に、体への負担が少ない「低侵襲(ていしんしゅう) 治療」が検討されます。
VUH(排尿性尿路水圧推進):膀胱を洗浄液で満たしてから圧迫し、小さな結石を尿と一緒に押し出す処置です。メス猫で結石が2.5mm未満のときの選択肢で、オス猫は尿道が狭く閉塞のリスクがあるため通常は行われません。
内視鏡を使った摘出:専用のカメラ(膀胱鏡)とバスケットやレーザーを使って、お腹を大きく切らずに結石を砕いたり取り出したりします(主にメス猫向け)。
経皮的膀胱切石術(PCCL):お腹に小さな穴を開けて器具を入れる方法で、性別を問わず選択肢になります。
【重要】再発予防の食事は「正反対」になる
ストルバイトは尿を「酸性」に保つことで、シュウ酸カルシウムは酸性化を避けて中性付近(目標pH6.6〜7.5)に保つことで、それぞれ再発を防ぎます。どちらの方向で進めるかは結石の成分によって決まる、獣医師の判断事項です。
注意したいのは、症状が落ち着いた後などに、自己判断で市販の下部尿路ケアフードへ切り替えてしまうケースです。方向性を誤ると、良かれと思ったフードが逆効果になる危険があります。
なお、市販の療法食の中には、pHを中間あたりに調整して両方のリスクにある程度配慮した「デュアルケア」タイプもあります。危険なのは、こうした一般的な予防食ではなく、既にある結石を溶かすための「溶解専用」の強く酸性化させたフードを、シュウ酸カルシウムのリスクがある猫にそのまま使い続けてしまうことです。
どちらの結石であっても「水分摂取量を増やして尿を薄めること」は共通して重要です。ウェットフードを活用するなどして、お水をたくさん飲める 工夫をしてあげましょう。
ストルバイトの予防
尿を「酸性」に保つ食事。
シュウ酸カルシウムの予防
酸性化を避け、「中性」付近(目標pH 6.6〜7.5)を保つ食事。
【両者共通】絶対に外せないルール
水分をたくさん摂って、尿を薄めること。
まとめ:明日の診察室で聞きたいこと
このページの振り返り
- —猫の結石は主に2種類あり、最初の予測が作戦の分かれ道になる。
- —ストルバイトなら食事で溶かせるが、シュウ酸カルシウムなら取り除く必要がある。
- —再発予防のアプローチは正反対。自己判断でフードを切り替えるのは避ける。
診察室で、こう聞いてみる
「うちの子の結石は、「ストルバイト」と「シュウ酸カルシウム」のどちらの可能性が高いですか?」
「もしストルバイトを食事で溶かす場合、いつ頃再検査をして効果を見ますか?」
「今のフードから指定の療法食へ、うまく切り替えるコツはありますか?」
表示される数値は統計的な参考値であり、個別の診断を確定させるものではありません。
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参考文献
- Dunn ME, Kornya MR, Lulich JP. 2022 AAFP Consensus Statement: Approaches to Urolithiasis Treatment. J Feline Med Surg. 2022. catvets.com
- Lulich JP, Berent AC, Adams LG, Westropp JL, Bartges JW, Osborne CA. ACVIM Small Animal Consensus Recommendations on the Treatment and Prevention of Uroliths in Dogs and Cats. J Vet Intern Med. 2016;30(5):1564-1574. doi.org
- Bartges JW. Feline Calcium Oxalate Urolithiasis: Risk factors and rational treatment approaches. J Feline Med Surg. 2016;18(9):712-722. doi.org
- Merck Veterinary Manual. Urolithiasis in Cats. Professional Version. Last updated May 2025. merckvetmanual.com
- Merck Veterinary Manual. Overview of Urolithiasis in Small Animals. Professional Version. Last updated May 2025. merckvetmanual.com
※ 表示される数値は統計的な参考値であり、個別の診断を確定させるものではありません。 本ページの情報は獣医師が監修していますが、治療方針は必ずかかりつけの獣医師とご相談ください。